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未払い残業代請求の完全ガイド|時効・証拠・手続きを制する実践戦略

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成功させるための未払い残業代請求:時効・証拠・手続きの完全ガイド

未払い残業代の請求方法。
未払い残業代の請求を成功させるためには、「時効」の正確な理解と「適切な手続き」の実行が不可欠です。特に時効に関しては法改正により期間が変更されているため、迅速な対応が求められます。


時効に関する最重要注意点

残業代を請求する権利(賃金請求権)には消滅時効があり、この期間を過ぎると会社が時効の成立を主張(援用)した場合、原則として請求権が消滅します。

時効期間の確認

残業代の時効期間は、残業代の「支払日」を基準に判断されます。

支払日が到来した日時効期間備考
2020年3月31日以前2年旧労働基準法による
2020年4月1日以降3年当面の間(将来的には5年に延長の可能性あり)

時効の起算点(カウント開始日)

時効のカウントは、権利を行使できる時、すなわち各月の「給料日の翌日」から始まります(民法の「初日不算入の原則」による)。

  • 例:給料日が毎月25日の場合、その月の残業代の時効は26日から進行します。

時効を中断(完成猶予・更新)させる方法

時効の成立を阻止するために、以下の措置を迅速に取る必要があります。

  • 催告(内容証明郵便の送付):
    • 未払い残業代を請求する旨の内容証明郵便を会社に送付すると、その時点から6か月間は時効の完成が猶予されます。
    • これは一時的な措置であり、6か月以内に次の措置(裁判上の請求など)を取らないと時効が完成してしまいます。
  • 裁判上の請求(労働審判、訴訟など):
    • 裁判所に訴訟などを提起すると、時効の進行はリセット(更新)されます。

⚠️ 注意点: 時効は古い残業代から毎月順次成立していくため、請求を決めたら一刻も早く、まずは内容証明郵便を送付して時効の完成猶予措置をとることが肝心です。


請求に必須な「証拠」と有効性

残業代請求の成否は、残業の事実正確な労働時間を証明できるかどうかにかかっています。

特に有効性の高い客観的証拠

以下の証拠は、会社が正式に記録しているため客観性が高く、最も有力です。

  • タイムカード、勤怠管理システム(ログ)の記録
  • 業務に使用したPCのログイン・ログオフ記録
  • 会社の入退館記録(警備システムやビル管理の履歴)
  • 業務メール、チャットの送受信履歴(業務を行っていた時刻の証明)

補助的な証拠と注意点

客観的証拠がない場合は、以下の資料を組み合わせて残業の事実を推認させます。

  • 業務日報、手書きのメモ、日記: 始業・終業時刻、休憩時間を1分単位で正確に記録し、業務内容を詳細に記載したもの。
  • 上司からの残業指示のメールやチャット
  • 退勤時刻が記載されたタクシーの領収書

⚠️ 証拠集めの注意点:

  • 1分単位での記録: 会社が切り捨てていても、法的には1分単位で計算するのが原則です。
  • 退職前の準備: 退職後に会社が証拠を破棄・隠蔽するリスクがあるため、在職中にタイムカードのコピーやPCログなどを私的に転送・保存しておくことが重要です。
  • 証拠がない場合: 弁護士を通じて会社に証拠開示請求を行うことができます。

残業代の具体的な計算方法

未払い残業代は、以下の基本式で計算されます。

残業代=1時間あたりの賃金×割増率×残業時間

ステップ内容
1. 1時間あたりの賃金(基礎賃金)の算出月給から、残業代算定から除外される手当(家族手当、通勤手当、住宅手当など)を除いた「基礎賃金」を、月平均所定労働時間で割って算出する。 1時間あたりの賃金=月平均所定労働時間月給(除外手当除く)​
2. 割増率の適用残業の種類に応じた法定割増率を適用する。時間外労働は1.25倍深夜労働(22時~5時)は1.25倍法定休日労働は1.35倍が最低限必要。月60時間超の時間外労働は1.50倍。
3. 残業代総額の算出算出した1時間あたりの賃金に割増率と残業時間を乗じる。

段階的な請求手続きの流れ

証拠を確保し、請求金額を計算したら、以下のステップで会社への請求を進めます。

手順内容
1. 会社への請求計算した残業代と時効中断の意思表示として、正式に内容証明郵便で会社へ請求書を送付し、交渉に入る。
2. 外部機関への相談・手続き会社との交渉で解決しない場合、以下の手続きを検討する。
手続き特徴
労働審判裁判官と審判員が間に入り、原則3回以内の期日で迅速な解決を目指す。
訴訟(裁判)最終的な法的手段。時間と費用はかかるが、最も確実な解決を目指せる。
労働基準監督署への申告会社への指導や勧告を求める。残業代の個別の回収は原則として行ってくれない。

これらの情報が、未払い残業代請求に向けた準備の助けとなれば幸いです。請求の手続きを進める際は、一度労働問題に詳しい弁護士にご相談されることを強くお勧めします。

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